SF・怪物映画ノート · 深海SFホラー · 深海と生存 · 2020

『アンダーウォーター』レビュー:暗闇と水圧が奪う居場所

ウィリアム・ユーバンク監督の『アンダーウォーター』(Underwater、2020)を読む。クリステン・スチュワートの身体表現、金属音と暗闇、災害から未知の恐怖へ移る構成を通して、深海サバイバルの強みと限界を考える。

『アンダーウォーター』(2020)は、ウィリアム・ユーバンク監督の深海スリラーだ。地震で研究施設が崩れ、エンジニアのノラと仲間は生き延びる道を探す。怪物に出会う前から、呼吸を支える設備そのものが敵になる。安全な場所が失われる速さに、この映画の怖さがある。[1] [2]

安全な壁が崩れるとき

人物紹介をゆっくり積み重ねず、冒頭から破損した通路へ観客を放り込む。逃げる理由は説明されるが、安心して状況を整理する時間はない。災害映画の切迫感を保ったまま未知の生命体の脅威へ進む構成は、恐怖を一つの原因へ閉じ込めない。[3]

クリステン・スチュワートのノラは、大きな宣言より、目線と身体の緊張で危機を伝える。ヘルメット越しの顔が近くに映るほど、周囲の広さは分からなくなる。仲間と同じ場所にいても孤立している感覚が、深海を単なる背景ではなく身体への圧力に変える。[3]

金属の軋み、点滅する光、視界を遮る濁りが、画面の外にも危険を感じさせる。ボジャン・バゼリの撮影と音響は、怪物をはっきり見せるより、環境を信頼できなくする。ただし暗さが行動の位置関係まで隠す場面では、不安が読み取りづらさへ変わる。[3]

見えない恐怖と、見えにくい映画

短い時間に危機を連ねる反面、人物の来歴や関係は駆け足になる。Varietyの批評も、精密な視覚効果と劇的な厚みの隔たりを指摘する。[4]既視感のある怪物映画の型を大きく更新する作品ではないが、その型を深海の条件で締めつける手際には力がある。

最も残るのは、未知の存在の正体より、人間が道具なしではそこにいられない事実だ。技術が守る小さな空間と、その外に広がる闇。その境界が崩れるたび、次の一歩が重くなる。物語の新しさより、逃げ場を失う感覚を求めるときに応える、生存の恐怖を押し出した映画である。

参考資料

作品情報は以下の資料を参照しています。

  1. Underwater
  2. アンダーウォーター
  3. Underwater
  4. ‘Underwater’: Film Review

10eKokoroが書いています

台湾出身で映画を愛するバリスタ、10eKokoroの映画ノートです。

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