スポーツドキュメンタリー映画ノート · スポーツドキュメンタリー · 競技とメディア · 2019

『The Good, The Bad, The Hungry』レビュー:小林尊と競食の物語

小林尊とジョーイ・チェスナットの競争を追う2019年のドキュメンタリー『The Good, The Bad, The Hungry』。競食を技術と物語の両面から静かに見直す。

『The Good, The Bad, The Hungry』は、小林尊とジョーイ・チェスナットがNathan's Famous International Hot Dog Eating Contestで重ねた競争を追うスポーツ・ドキュメンタリーだ。ESPN Watchは監督名と二人のライバル関係、Apple TVは2019年、77分を記す。[1] [2] 問いは量だけでなく、速さをどう競技に変えるかにある。

競技を技術として見る

小林の強さを身体の特異さだけに還元しないことが入口になる。ESPNの取材で本人は、食べるリズムを整え、余分な動きを減らすことを重視したと語る。パンとソーセージを分け、水を使う方法も速さを求めた試行だった。[3] 数字の背後に反復と観察がある。

Apple TVの紹介は、小林がNathan'sを6年連続で制し、2007年にチェスナットがその座を奪ったと要約する。[2] ESPNの取材で小林は、敗北の悔しさとともに、競技の水準を押し上げる相手が現れた安堵も振り返る。[3] 2007年は交代劇ではなく、基準が動いた年として見える。

ライバル物語は勝者と敗者をすぐに決められる。だが小林は、大会の宣伝で敵役として描かれたことを傷つく記憶として話す。[3] 日米の対決は分かりやすいが、技術や準備を国籍の記号へ縮めてしまう。映画はその単純さをどこまでほどけるだろう。

物語の外側にいる人を消さない

ESPN Watchの紹介も、二人が「競技最大の舞台」で向き合うという枠組みを置く。[1] 観客やほかの競技者が背景に退かないかを気にしたい。中心人物を鮮明にするほど、環境は見えにくくなる。誰が物語を語るのかも残る問いだ。

競食を奇抜な見世物として閉じず、練習、工夫、興行、ライバル関係が交わる競技として見せ直す。小林の6連覇と2007年の転換、技術への言葉を並べれば、年表だけでは見えない時間が現れる。[2] [3] 残るのは、競技者をどんな物語に置くのかという問いである。

参考資料

作品情報は以下の資料を参照しています。

  1. The Good, The Bad, The Hungry
  2. The Good, The Bad, The Hungry
  3. Takeru Kobayashi's hot dog eating rivalry with Joey Chestnut

10eKokoroが書いています

台湾出身で映画を愛するバリスタ、10eKokoroの映画ノートです。

10eKokoroについて
10eKokoro's Dreamのサイトバナー:フィルムカメラ、ノート、コーヒーのある静かな机