ホラーコメディ映画ノート · 動物スラッシャー・コメディ · SNSの承認欲求と、実物のパペットが生む恐怖と笑い · 2023

『キラー・ナマケモノ』レビュー:かわいい顔で、人気競争を壊す

『キラー・ナマケモノ』(Slotherhouse、2023)を、女子学生の人気競争、SNSの承認欲求、実物のパペットから読む。かわいい動物をマスコットにする欲望が、荒唐無稽な殺人劇へ反転するホラーコメディ。

『キラー・ナマケモノ』(原題Slotherhouse)は、ナマケモノを殺人鬼に変える2023年のホラーコメディだ。日本では2024年4月26日に公開された。マシュー・グッドヒュー監督は、愛らしい動物と女子寮のスラッシャーを結び、題名の駄洒落を映画へ押し広げる。[1] [4]

女子寮の人気競争に、アルファが来る

女子学生エミリーは、ソロリティと呼ばれる社交クラブの会長選挙で注目を集めようと、ナマケモノのアルファを寮へ連れてくる。SNSで人気のマスコットになれば、自分の地位も上がるはず。その計算が、学生たちの失踪によって崩れていく。かわいさを所有するつもりが、相手に支配される反転が面白い。[1] [3]

アルファを野生から連れ出し、人気を得る道具にする設定には、密猟と承認欲求への風刺がある。社交クラブの選挙も、能力より見え方を競う小さな社会として描かれる。ただし、人物は類型に寄りがちで、社会批評を掘り下げるより、欲望の浅さを大げさな殺人劇へ変える映画だ。[2] [3]

その馬鹿馬鹿しさを支えるのが、実物のパペットで表現されたアルファだ。毛並みと目の不自然さは、動物としての説得力より、ぬいぐるみが悪意を持ったような不気味さを生む。ゆっくりした印象と異常な器用さの食い違いが、恐怖にも笑いにもなる。精巧さだけでは得られない存在感がある。[2] [3]

パペットの違和感と、一発ネタの限界

一方、アルファが画面から離れると、定型的な会話や選挙の説明が前へ出て、勢いは弱まる。意外な組み合わせだけで長編を引っ張る難しさが、後半ほど見えてくる。殺人鬼の動きに驚く楽しさはあっても、人物の危機を切実に感じさせる積み重ねは薄い。発想の強さと脚本の弱さが隣り合っている。[2] [3]

本作は、現実の動物行動を再現する映画ではない。SNS映えのために生き物を飾りにする身勝手さが、自分たちへ返ってくる悪趣味な寓話だ。丁寧な恐怖を期待すると粗さが気になるが、かわいい顔のパペットが人間の人気競争を台無しにする瞬間には、この映画ならではの魅力がある。[3]

参考資料

作品情報は以下の資料を参照しています。

  1. キラー・ナマケモノ (2023):キャスト・あらすじ・作品情報
  2. ‘Slotherhouse’ Review: A Cuddly, Murderous Mammal Spices Up Dull Sorority Slasher
  3. Slotherhouse
  4. Slotherhouse

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台湾出身で映画を愛するバリスタ、10eKokoroの映画ノートです。

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