『キラー・ナマケモノ』(原題Slotherhouse)は、ナマケモノを殺人鬼に変える2023年のホラーコメディだ。日本では2024年4月26日に公開された。マシュー・グッドヒュー監督は、愛らしい動物と女子寮のスラッシャーを結び、題名の駄洒落を映画へ押し広げる。[1] [4]
女子寮の人気競争に、アルファが来る
女子学生エミリーは、ソロリティと呼ばれる社交クラブの会長選挙で注目を集めようと、ナマケモノのアルファを寮へ連れてくる。SNSで人気のマスコットになれば、自分の地位も上がるはず。その計算が、学生たちの失踪によって崩れていく。かわいさを所有するつもりが、相手に支配される反転が面白い。[1] [3]
アルファを野生から連れ出し、人気を得る道具にする設定には、密猟と承認欲求への風刺がある。社交クラブの選挙も、能力より見え方を競う小さな社会として描かれる。ただし、人物は類型に寄りがちで、社会批評を掘り下げるより、欲望の浅さを大げさな殺人劇へ変える映画だ。[2] [3]
その馬鹿馬鹿しさを支えるのが、実物のパペットで表現されたアルファだ。毛並みと目の不自然さは、動物としての説得力より、ぬいぐるみが悪意を持ったような不気味さを生む。ゆっくりした印象と異常な器用さの食い違いが、恐怖にも笑いにもなる。精巧さだけでは得られない存在感がある。[2] [3]
パペットの違和感と、一発ネタの限界
一方、アルファが画面から離れると、定型的な会話や選挙の説明が前へ出て、勢いは弱まる。意外な組み合わせだけで長編を引っ張る難しさが、後半ほど見えてくる。殺人鬼の動きに驚く楽しさはあっても、人物の危機を切実に感じさせる積み重ねは薄い。発想の強さと脚本の弱さが隣り合っている。[2] [3]
本作は、現実の動物行動を再現する映画ではない。SNS映えのために生き物を飾りにする身勝手さが、自分たちへ返ってくる悪趣味な寓話だ。丁寧な恐怖を期待すると粗さが気になるが、かわいい顔のパペットが人間の人気競争を台無しにする瞬間には、この映画ならではの魅力がある。[3]
参考資料
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