台湾ギャング映画名作5選 · 台湾ギャング・恋愛映画 · 帰属、恋愛、都市空間、忠誠の代償 · 2021

角頭-浪流連|帰属と都市の代償

姜瑞智監督の台湾映画『角頭-浪流連』を、恋愛の視線、都市の音響、兄弟分の忠誠が生む自由の代償から読み解くレビュー。

台湾電影網が記す原題は「角頭-浪流連」、姜瑞智の長編監督作で、台湾では2021年2月5日に劇場公開された。[1]街の顔役たちを英雄化するのではなく、彼らの帰属が恋愛と日常をどう狭めるかを見つめる作品だ。

恋愛が照らす共同体の境界

満月の宴や仕事場のざわめきから始まる物語は、抗争の大きさより、そこに巻き込まれる人の距離を測る。写真を撮る小淇の視線が、男たちの結束を外側から照らし、阿慶の「兄弟」と恋人のあいだにある矛盾を静かに露出させる。公式概要も女性と愛情の角度から角頭世界を捉えると説明している。[1]

画面の魅力は、派手な場面を都市の生活感から切り離さないところにある。住宅地の狭い道、宴席、工場の硬い空気が、組織の縄張りを抽象的な地図ではなく、誰かが暮らす場所として感じさせる。乾いた打撃音と緊張を引き延ばす沈黙が、暴力を爽快な勝利ではなく、関係を壊す圧力へ変えていく。

英語圏の批評が指摘するように、本作はシリーズ第三作でありながら単独で入りやすく、抗争は恋愛の背景へ退く。[2] 鄭人碩は、身近な人を気遣う男と、仕事のために非情になり得る男を同じ身体に置く。その揺れが忠誠を美談にせず、守るという言葉の裏側にある強制を見せる。

忠誠の美学が残す代償

一方で、小淇の人物像が阿慶の変化を支える役割に寄りかかるという批評の限界も残る。[2] 彼女の写真家としての観察や、街から一歩引いて選び直す可能性を、もう少し物語の中心に置ければ、作品の女性的な入口はさらに強くなっただろう。それでも、兄弟分の連帯が個人の自由を救うとは限らないという苦さは確かに届く。

だから本作の「角頭」は、伝説の実在人物を再現する名ではなく、台湾の都市に置かれた架空の共同体として読むべきだ。[1] 仲間を失わないための規則が、恋人や周囲の住民に負担を押しつける。その帰結を見せることで、映画はギャングの様式を借りながら、力に寄りかかる生き方の代償を問い返している。

参考資料

作品情報は以下の資料を参照しています。

  1. 角頭-浪流連
  2. REVIEW: Gatao: The Last Stray (2021)

10eKokoroが書いています

台湾出身で映画を愛するバリスタ、10eKokoroの映画ノートです。

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