大森立嗣監督の『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)は、森下典子のエッセイを原作にした2018年の映画だ。日本では10月13日、台湾では2019年2月1日に公開された。20歳の典子が武田先生の茶道教室へ通い、所作の反復から時間の感じ方を学んでいく。[1] [2]
音と季節がつくる学び
音と季節が注意を組み替える。帛紗、湯、茶碗の小さな音は、雨を聴き雪を眺める感覚へ広がる。雨や雪を五感で受け止める物語は、知識よりも身体から始まる学びを示す。[2]
典子の成長は正解を得ることではない。就職、恋愛、家族の死は茶室で解決されない。それでも毎週同じ場所に座り、器と相手へ注意を戻す反復が、喪失を消さず抱える時間をつくる。JFDBの解説がいう「人生における大切な物事」は、注意の向け先を選び直す技法として見えてくる。[1]
樹木希林の武田先生は教訓を言い渡す教師ではなく、沈黙と間を含む所作そのものを教える。The Hollywood Reporterが評した自然な説得力は、黒木華の戸惑いを急いで感動へ変えない。桜を見て死者を悼む場面では、台詞より呼吸と視線が悲しみを運ぶ。[3]
樹木希林の静けさと、時間の編集
大森のリズムは出来事を急がない。季節の切り替え、茶室への出入り、反復する手順が、典子の内面を説明せず時間を可視化する。音楽は異国情緒に寄りかからず、撮影と美術が季節を刻む。器の歴史を参照しつつ、茶碗を飾りではなく、手と音を受け止める道具として見ると、画面の細部が豊かになる。[3] [4]
『日日是好日』は茶道を万能な治療法にしない。悲劇の場面に定型的な膨らみはあるが、樹木希林の抑制と黒木華の「見る」速度が物語を弔いへ戻す。学びとは、変わらない動作のなかで変化を聞き取ることだ。[3]
参考資料
作品情報は以下の資料を参照しています。
