日本アニメ映画名作5選 · 日本アニメ映画 · 移動空間と継承 · 2020

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』レビュー:走る空間と継承

外崎春雄監督の『鬼滅の刃』無限列車編を、走る列車の空間演出、テレビシリーズから続く劇場版の構成、若い隊士へ受け渡される責任から読む。

2020年10月16日に日本で公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、テレビアニメに続く物語を劇場用の一本へ組み直す。Aniplexは列車を舞台にした任務を公式に紹介し、ufotableの作品ページは監督・外崎春雄と公開開始日を掲載している。[1][2]

走る列車の密室

列車という動く密室は、乗客を守る仕事と前進する危険を同時に抱える。車両の連なりは場面転換の装置であると同時に、人物を逃げ場の少ない関係へ押し込む。画面が進む方向と、登場人物が引き受ける役目の重さが重なる点が、本作の構造を支える。

テレビシリーズから続く作品でありながら、劇場版は「旅の途中に立ち寄る一話」ではなく、限られた空間に緊張を集める。映画.comが記録する117分の公開版という長さも、移動、対話、アクションを一つの区間に結びつける。テレビ版の同名シリーズや後年の4K再上映と区別すると、劇場版の位置が明確になる。[3]

戦闘の見せ場では、炎の色や呼吸のリズムが人物の動きを読みやすくする。一方、列車の暗い通路や窓の外の速度は、安らげる場所が揺らいでいることを画面に残す。エフェクトの鮮やかさだけでなく、空間が変化するタイミングに注目すると、アニメーションの力が見えやすい。

受け継がれる役目

本作の感情は、勇気を大声で称えるだけではない。年長者から若い隊士へ渡る言葉や行動が、守ることを命令ではなく継承として描けるかが問われる。シリーズを知らない観客には人物関係の前提が早く進み、感情の密度が追いつきにくい面もある。

『無限列車編』は、走り続ける車両のなかで、一つの任務が仲間や師弟の関係をどう変えるかを見つめる。派手な映像の向こうに残るのは、前へ進むことと、受け取ったものを次へ渡すことの重なりだ。劇場アニメの大きな画面が、物語の移動を感情のリズムへ変えている。

参考資料

作品情報は以下の資料を参照しています。

  1. 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
  2. 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
  3. 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編

10eKokoroが書いています

台湾出身で映画を愛するバリスタ、10eKokoroの映画ノートです。

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