『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023)は、ペイトン・リード監督によるシリーズ第3作だ。スコットとホープ、その家族は、娘キャシーの装置をきっかけに量子世界へ引き込まれる。日常を離れた冒険の中心にあるのは、父が娘を守りたい気持ちと、娘自身の行動する意志だ。[1] [2]
小さくなることが、遠くへ行くことに変わる
発光する生物や奇妙な住民が並ぶ世界は、旅先を眺める楽しさを持つ。[3]ただ、どこも未知の風景になると、人物が小さくなった実感は薄れる。Guardianが指摘するように、見慣れた物を拡大して笑いに変える前作の魅力は後退した。[4]奇観の豊かさと、尺度を感じる面白さは同じではない。
それでもポール・ラッドの戸惑う表情には、普通の人が大事件へ放り込まれた可笑しさが残る。大きな敵の前でも、スコットはまず父親として反応する。ミシェル・ファイファー演じるジャネットの秘密も、世界の説明だけでなく、家族へ言えなかった過去として重みを持つ。[3] [4]
キャシーを守りたい父と、自分から動こうとする娘の違いは、身近な対立として理解しやすい。ここでは正しい知識を持つことと、相手の気持ちを知ることが別々に描かれる。スコットと娘の関係を軸にすると、壮大な設定も、近くにいる人をどう信じるかという問いへ戻ってくる。[3]
宇宙の危機よりも、家族の距離
弱点は、人物の会話を味わう時間より、大きなシリーズを背負う説明や戦闘が前へ出ることだ。カーンの脅威を示すほど世界は広がるが、ホープの存在感は薄くなる。後半の忙しい映像では、何が大きいかより、誰が何を望むかを見失いやすい。派手さが必ずしも感情の強さにつながらない。[3]
本作は量子科学を学ぶ映画ではなく、奇想の世界で家族を描く冒険だ。異世界の造形を楽しみながらも、アントマンらしさを支えるのは能力の規模より、頼りなさのある人間の親しみやすさだと感じさせる。小さなヒーローに大きな物語を託した試みは、その魅力と、広げすぎる難しさの両方を見せている。
参考資料
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